2011年10月20日木曜日

台湾名物、夜市を歩く③――蛇


引き続き、夜市編。
こちらはMRT龍山寺駅からほど近い、華西街観光夜市。前回、前々回と紹介した士林夜市ほどの規模はないが、妖しい独特の雰囲気があるため士林夜市と並んで台北の代表的な観光夜市とされている。

実際、賑やかなメイン通りをちょっと外れて裏通りに入ると、ピンクやら黄色やらの妖艶な看板がひしめいていたりして、人通りもぐっと少なくなる。ガイドブックやらサイトなどをあたってみると、台湾、特に台北や高雄は結構前に風俗営業の取り締まりを強化した結果、今ではその手の店は絶滅の危機(?)に瀕しているとどの媒体にも書かれているが、ここにズラリ並んでいるのはどこからどう見てもその手の店。人の住んでいるところにはいつの時代でも風俗と阿片窟がある、と言われているが、なるほどこんなところでひっそりと頑張っていたんですねえ。かつて台北屈指の風俗エリアとして名を馳せていた(という)名残りを垣間見ることができ、なかなか興味深いです。
じゃあその風俗が窓際に追いやられた今、いったい何がこのエリアで有名なのかというと、ゲテモノなんですね。特に「蛇の道」という呼称もあるように、なんだかぼやっと薄暗いメイン通りのアーケードを歩いていると、蛇を大々的にプッシュしている店がちらほらと目に付く。それも屋台じゃなくて、立派な店を構えた堂々たる路面店である。足を運ぶまではてっきり屋台だろうとばかり思っていたから、この想像とのギャップに少々面食らった。ただ、アーケード自体に人があまりいないせいか店内はどこもガラガラ状態で、どうもあまり儲かっているようには見えない。平日だったせいなのかそれともこれがデフォルトなのかイマイチ判然としなかったが、まあけっこう昔から営業しているみたいだし、週末はそれなりに賑わうのかもしれない。
入ったのはそのガラガラ状態の店の一軒。両隣が閉店していてシャッターが降りていたせいもあってやたらピカピカと明るく、入り口だけだと高級店のように見えなくもない。店頭には、なぜかヘッドセットを装着した兄ちゃんが170㎝ぐらいある脚立に腰掛けていて、高いところから人気のない通りに向かって、まったくやる気のなさそうな声で客引きの口上を述べておりなかなか味わい深い。人がほとんど歩いてないんだし、やる気がないならやらなくてもいいんじゃないかと思ってしまうが、そういう問題でもないみたいだ。
で、誰もいない店内で待つこと数分、出てきたのが蛇のスープセット(写真上)。透明に澄んだスープで、中には魚のアラのような蛇肉とナツメの実?が入っている。セットで注文すると、スープと一緒に蛇のペニス漬焼酎と白濁した何かを混ぜた焼酎、蛇の肝をハチミツで溶いた液体という飲み物3点セットと、蛇の油を固めたカプセルが付いてくる。スープの味は薄い塩味で、蛇で出汁をとったのだろうがあまり蛇らしさ(がそもそもよく分からないが)は感じられなかった。蛇の肉は固いうえに肋骨付きで、はっきり言って食べづらい。肉の味は、まあ魚の白身みたいな感じです。正直言って特に旨くはない。
ペニス焼酎は体力回復、そしてやっぱり精力増強効果があるそうだが、焼酎が強く飲みづらい。白濁した液体はお湯に漢方の匂いをちょっと足してみました、みたいな感じ。唯一飲みやすいのが肝ハチミツで、これはまあハチミツが強く、甘いのでそこそこ美味しかった。お代わりしたいとは思わないけれど。
ちなみに店頭には蛇が金網ケースに入れられた状態で陳列されていて、一応撮影は禁止されているが料理を注文すると別に撮っても構わないらしい。他に客もいないので、ゆっくり思う存分撮らせていただきました。

蛇スープセット。左から蛇油カプセル、ペニス焼酎、白濁液、肝ハチミツ。しめて150元也

店頭に陳列された蛇。注文が入るのを今か今かと待ち構えて……いるわけないか

高級店ふうの店構え。薄暗いアーケードの中で異彩を放っている

難易度:★★☆☆☆
味   :★★☆☆☆
お値段:150元(訪台中のレートは1元=2.5円)