2012年3月25日日曜日

日本で2番目に高い日本酒――残響Super9


2月末、恒例の都内某タイ料理屋にて、閉店後に日本酒の試飲会を開催。ブツは宮城県は三本木町に蔵を構える(現在は移転)新澤酒造の「残響Super9」。残響はともかく「Super9」とはまたずいぶんとシャレオツな日本酒らしからぬ響きですが、単にカッコイイから適当に付けた名前ではもちろんなくて、ここでいう「9」は精米歩合を表しているわけであります。つまり「精米歩合が9%」ということですね。誤植でもタイプミスでも捏造でもステマでもなんでもなく、精米歩合「9%」。原料のお米を削って削って削りまくったわけで、値段も四合瓶で2万1000円と、目の玉どころか尻子玉まで飛び出しそうな、名前負けという言葉から10億光年離れたスーパーな酒です。

通常、日本酒の精米歩合は純米酒が70%以下、吟醸酒が60%以下、そして大吟醸が50%以下と決められているので、9%というと「大大大大大吟醸」と、もはやなにがなんだかわからないことになってしまう。もちろんそんな呼び方はしないけど。


瓶本体にはしっかり「9%」の文字が踊る

もともと年に一度、12月に限定で販売されるお酒で、ネットでも一部販売していたのだが、噂を聞いて探したときはすでに遅しで完売御礼。仕込みの難しさやらなんやらで、そもそもの生産量が少ないこともあって、国内流通分はわずか200本ほどだとかで、正攻法ではまず入手できないようでほとんど諦めていたのだが、たまたま立ち寄った仙台市内の某百貨店の地下食品売り場(要はデパ地下ですね)の地酒コーナーで発見。現物は陳列されていなかったが、名刺サイズの手書きのPopに小さく、売っている旨が書かれており、店員さんに尋ねたところ3本だけあるとのことで、2時間ほど悩んで電話で同士を募った後、震える手で諭吉先生2人と野口先生1人をレジに出して無事購入。なんでも店員さんによると、国外に100本、県内に100本、県外に100本だけ出荷したとのことで、その百貨店では少し前に酒のフェアを開催したときに例外的に扱うことができたんだそうな。そのときに出品され、買い手がつかなかったのを地下食品街で売っていたらしい。まあこの価格では買い手がつかなかったのもむべなるかな、という感じはしますが。なお、移転前の三本木の蔵は昨年の震災で被災。ただ、容器は奇跡的に無事で、そのときに救出された酒ということになるらしい。

左が通常のお米で右が残響Super9に使用した酒造好適米「蔵の華」。9%バージョンです
酒本体に話を戻すと、まず化粧箱がなんだかやたら豪華。開けると中にエディションナンバー入りの解説書と使用した酒造好適米のサンプルが入っている。ざっと解説を要約すると、9%まで磨くのは普通の酒造好適米では無理で、地元宮城県産の「蔵の華」でようやくここまで磨くのに成功したんだとか。仕込みも通常の大吟醸よりさらに多大な時間と手間を要するらしく、一体なんでそこまで……、と思わないこともないが、とにかく何から何まで規格外の酒であります。競走馬で言うとオルフェーヴルみたいな感じでしょうか。いや違うか。
同封の解説書はエディションナンバー入り。181番でした

香りは、大吟醸同様にフルーティーな日本酒、という感じ。口に含むと日本酒特有のアルコールの味を一瞬感じるが、すぐに消えて甘い果物の味がふんわり口中に広がる。感覚的にはワインに近い気がします。ものすごく乱暴にいうと、白ワインとフルーツジュースを足して割って上品にしたような感じ。余韻もひたすら甘い果物で、なんというか果樹園を散歩しているようなうっとり感を堪能させてくれます。


グラスに注いだところ。色は透明

この時集まった物好きは6人で、一人あたりで割ると3500円。四合瓶なので、ひとりに与えられた量は大きめのお猪口で3杯でした。たぶん今生では二度と飲めないと思われます。店員さん曰く、サイズあたりでは日本で2番目に高い日本酒だそうな。これより上があることにむしろ驚くが、それ(日本一)もなんとこの酒売場に置いてありました。地元では有名な勝山館(「美味しんぼ」のあのソーセージを作ってるところ、というと通りがいい)が出している日本酒で、こちらはなんとお値段3万1500円(四合瓶サイズ)。1万円以上の差をつけて余裕のフィニッシュ、という感じで、もはや言葉がありません。宮城県人って実は無茶が好きだったんですね。ちっとも知りませんでした。

※ちなみに名付け親は福山雅治だそうな。オーナーが旧知の中だそうで、瓶にはギターの小さなイラストが描かれておりました。

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