屋台や飲食店がズラリと並んだ台湾名物の夜市を冷やかしていると、どこからともなくぷうんと強烈な臭いが漂ってくる。どこかで嗅いだことがあるようなないような、知ってるような知らないような……。発酵臭であることは間違いないが、それが何なのかはどうもよく分からない。で、気になって臭いの元を辿っていくと、その先にあるのはほぼ100%、これ。スウェーデンのシュールストレミング、韓国のホンオフェ、フランスのブルーチーズ、そして日本ではくさや、などなど、各国にはその国を代表する「臭い食べ物」があるが、ここ台湾でのそれが、この臭豆腐。名前に自ら「臭」を冠す、台湾を代表する堂々たる臭い食べ物である。
発酵臭の中にツンとした酸っぱい臭いも混じっているのが特徴で、おかげで味の見当はつけやすいが、臭いのが苦手な人の食べるハードルも上げている。詳しくは知らないが納豆菌とかそういういろいろで発酵させた汁に漬け込んだものだそうで、製法としてはくさやに近いのかもしれない。けっこうあちこちで売る屋台を見かけるので、現地ではなかなか人気がある食べ物みたいだ。麻辣の辛いスープで煮込むのが一般的な食べ方のようで、鴨の血入りなんかも選べたりする。加熱剤を仕込んだ専用の小鍋で熱いまま提供するのがスタンダードのようです。
鍋サイズのお玉で臭豆腐をすくうオバチャン。だいたいどこもこんな感じの大鍋でぐつぐつと煮込んでいる |
こういう容器に入ってテーブルへ。トムヤムクンを彷彿させる |
で、食べてみると、これが意外にそれほど臭くない。もちろんそれなりの臭いはあるが、むしろ離れていたときのほうが臭かったぐらいで、至近距離(要するに口に入れるまで)だと思ったほど気にならない。あら、嗅覚がマヒしたのかな?と一瞬思ったが、店をでるとき大鍋の前を通ったらやっぱり臭かったので、そういう問題でもないようだ。臭豆腐の七不思議である(ひとつしかないが)。
肝心の味は、ちょっと臭い麻辣味の豆腐、という感じ。けっこう美味しくスイスイいける。食感は普通の豆腐より堅め。具には他に高菜が入っていて、豆腐に飽きた時なんかにいいアクセントになる。全体的に最初の印象より食べやすいので、臭いのが好きな人なら難なくクリアーできるのではないでしょうか。店によってけっこう違いがあるみたいなので、食べ歩いてみると案外面白いかもしれない。なかなか量が多いので、その際は二人以上でやることをお勧めします。
別の店で食べた臭豆腐。ここのはあまり辛くなかった。臭いも抑えめ。慣れると物足りなく感じる |
難易度:★★★☆☆
味 :★★★☆☆
お値段:40~80元程度(※訪台中のレートは1元=2.5円)